追記:六ヶ所村ラプソディー

映画「六ヶ所村ラプソディー」公式HP
http://www.rokkasho-rhapsody.com/


昨日の記事に追加して、映画の中で印象に残ったトピックを紹介します。
おおよそ本筋の話とは違う部分の話題かもしれなくて、この映画を同じく観た方にとっては「ええぇ、そこぉ?」という話かもしれませんが。


◎(再処理施設や原発は)親戚にいる変わり者のおじさんみたいなものさ


まずはセラフィールド界隈の漁師の言葉です。
セラフィールドとはイングランドの西部、アイルランドに面した海沿いの街です。

ここには核燃料からプルトニウムを抽出する、六ヶ所村の施設と同じようなものがあります。
(現在は完全閉鎖に向かっており、9月には一部施設の解体も行われている)

六ヶ所村施設はエネルギーのために作られましたが、このセラフィールド施設はもともと軍需工場でした。
プルトニウムの軍需利用・・・つまり、核兵器を作るための施設というわけです。

時代を経て、軍事利用ではなく原子力発電の残滓(劣化ウラン)を再処理する施設へとその役割を変えたセラフィールドは、多数の雇用を生み、地場経済への大きな福音となりました。

そしてほどなく、周辺地域の子どもの白血病発症率が通常の10倍だと判明しました。

再処理した後の放射能を帯びたプルトニウムセシウムなどは回収しきれず、微量ながら煙にまじって拡散されたり、海へと排水されたりしています。(ただ科学者の見解としてはセラフィールド白血病の因果関係が証明できず、排出されるものについても基準値を下回るとされているようです)

そして、そんな海でそれでも漁をしていかなければならない漁師の言葉がこれです。

「イギリスにとって、俺たちはマイノリティなんだ」
GDPの何%にもならない俺たちが、ここで反対の声をあげたってどうなる?」
「(セラフィールド施設は)親戚にいる変わり者のおじさんみたいなものさ」



◎地元建築会社代表「またとないビジネスチャンス」


地元の有力な建築会社の社長は、施設が出来て稼動すればたくさん事業が増えるといいます。
これはまたとない「ビジネスチャンス」だと・・・。

彼は青森東北部の開拓民の子孫です。
地元を、こころから愛しています。



◎中で仕事してるけど、すごく安全を徹底してる


再処理施設の中でウランを扱う仕事をしている男性の話によりますと、放射能を外部からも内部からも被ばくしないために超重装備をするようです。
つなぎを2枚、そしてその上からさらに防護服を着込みます。
夏はめちゃくちゃ暑いし汗だくになるけど、それによって働く人は安全を得ています。

そしてつねに放射能を測定するバッヂをつけて作業に取り組み、毎日被ばくしているかどうか厳しくチェックして手帳につけています。
また、被ばく放射能が一定量を超えると仕事自体ができなくなってしまうため、労働者の側も厳重に気をつけて取り組んでいます。
いわば現場の人たちは施設の管理職も含めて、みんな「仲間」だから仲間を信用して仕事するのは当たり前だということです。

インタビュアー(鎌仲監督)「内部被ばくの可能性は?」
働く男性「絶対ない、ありえない」



◎東大教授「結局最後は金でしょ?」


原発推進派の旗手である東大の教授はいいました。

「再処理施設に関しては問題ないとは言えないし、安心だってできない。そんなのは当たり前のこと。
でも資源の乏しい日本ではこうしなければならない。
そのために最善の技術や対策を莫大な費用とともに投下している。
六ヶ所村施設はその建造・設備費だけでも2兆円かかっている)

地元の住民が納得しなかったりとか、いろいろ問題はあると思う。
でも、1億で納得しないなら3億、5億と政府は出すことができる。
なぜなら、再処理施設をつくることにかける金額からしてみればはした金だからだ

結局、最後に物事を解決するのは金でしょ?」



◎地元でも評判のクリーニング店「いずれは(施設の)中で仕事が欲しい」


非常に腕がいいと評判のクリーニング屋さん。
地域住民に愛され、素晴らしいサービスを提供しているクリーニング屋さんです。
社長もこだわりを持って仕事に取り組んでおり、入ったばかりの社員にも自らが指導に入ります。

彼は再処理施設の中で、放射能を帯びた衣類のクリーニング部門をいれこみたいと語りました。
そして、そのために雇用を生んで、まさに救われた社員もいます。
その社員も「将来的には再処理施設の中で働くことになっている」と語っています。



土本典昭


土本典昭氏は水俣病をテーマにしたドキュメンタリーの制作者です。

―――あのときチッソ水俣病の原因となった会社)の出す”科学的な資料”に基づいて、みんなが安全なものだと納得していた。
結果として、水俣病はおこってしまった。