スロウマーケティングということvol.2

昨日の記事の続きです。

その記事の中で感動した部分だけを抜粋してみます。

 大塚製薬の製品の中で、私がスポーツをした時に好んで飲むのがポカリスエットです。
 それは、20年近く前に見たテレビCMの映像とコピーの素晴らしさが今も私の頭の中に残像としてくっきりと存在しているからです。

 読者の皆様の中で私と同年代の方々であれば、ご記憶の方もきっと多いと思います。
 映像は夏の真昼の川辺を歩く舘ひろしさん。
 そして、こんなオフ・ナレーション。

高校の頃はよく汗をかいた。
地面にしたたり落ちる自分の汗を見て、
気がつくと横たわっていた。
空は限りなく高く、自分の呼吸の音だけがした。
いつまでも夏でいたい。
ポカリスエット ボトル。

 素晴らしい詩だと思いませんか?

「空は限りなく高く、自分の呼吸の音だけがした。」

 そんな時間がある夏をすごせる限り、いくつになっても青春でいられるような気がします。

 笑う人がいるかもしれませんが、真剣に今でもそう思って、夏に運動をするとポカリスエットを飲みます。

 「いつまでも夏でいたい。ポカリスエット ボトル。」

 最高の広告クリエイティブには、他の何を持っても変えがたい、夢を運ぶチカラがあると信じています。


ここでは「マス広告」ということについて記述されていますが、広告形態に関わらずマーケティングの手段として、そのひとつの商品(≒ブランド)に一人一人がストーリーを感じるということは非常に重要なことなんじゃないかと僕は主張します。

この大塚製薬ポカリスエットに関しても、僕には僕の思い出があります。
やっぱり、風邪をひいたらポカリスエットという気がします。
それは、子どものときに風邪をひいたら母親がビンのポカリスエットを買ってきてた記憶があるからです。

僕の思うスロウマーケティングの真髄はそこであって、方法論の一つとしてもっと研究していきたいなあと思う部分でもあります。

ストーリーとともに記憶された情報は、根強く、アタマから離れることを許しません。

いわば無意識下にインプリンティング(刷り込み)された状態であって、何十年もシンプルなキャッチコピーを変えていない某製品が「○○といったら△△だろ」と人々に認知されているのは、単純に時がなせる業ではなく、競合品があらわれても臆することなく「変わらない勇気」をもって・・・そして自社の商品に対して絶大なる自信を持ってマーケティングし続けてきたことにつきると思います。

いわゆる今のわかりやすいマーケティングの方法、結果をすぐに求め、そしてすぐに出るように仕掛ける方法が悪いとディスっている(批判している)わけではありませんが、スロウマーケティングもないがしろにしないで貰いたいな、と。

何日、何ヶ月か経ってから効果があらわれる方法も忘れないでね、と。

そんなことを、日々変わり続ける500mlペットボトルの形を眺めながら思っています。