アフリカ・キャラバンの話
アフリカキャラバンinSAPPOROというイベントに行ってきました。
来年2008年は言わずと知れたG8サミットが北海道で行われるのに加えて、第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)も行われるということなんで、その前年に気運を高めましょう・・・とそういった主旨で行われたようです。
ちなみに主催は同実行委員会によって行われたものなんですが、TICAD市民社会フォーラム、外務省、国際協力銀行、JICA(国際協力機構)などによって構成されてました。
僕はといえばそんなこととはつゆ知らず、石弘之氏の講演を聞きにだけ行ってきました。
石弘之氏は北海道大学の教授を今はされているのですが、もともと朝日新聞の記者でした。
そして94年に退社、先日講演会を行ったセヴァン=スズキの父親であるデヴィッド=スズキの財団研究所の客員研究員となりました。
環境に関して広い知識、見識を持っている方で、たくさんの著書を出しています。
その中でアフリカに非常に造詣が深く、環境問題のみならずアフリカ…特にサハラ以南の地域における諸問題について、我々にわかりやすく、興味深いお話をしてくれます。
中でも「子どもたちのアフリカ」という本は僕がこのエコナコトを始めてから「フェアトレード」に興味を持ち出して最初に出会った本です。
アフリカでは僕が石さんから今回聞いたおはなしも含めて、いろいろな問題が起こっています。
でも、みんな「問題がある」「誰かが餓死している」とはわかっていても、具体的にそれがどういう問題なのかはあまり知りません。
実はもっとも問題なのはその「無関心」であって、アフリカはそのことから「世界に無視された国」と言われています。
「無視」が生んだ貧困であり、紛争であり、飢餓なのです。
これは環境問題全般に言えることかもしれませんが・・・・。
そして、石さんは講演で言いました。
「まずは知ること、関心を持つことから始めましょう」
ということで、聞いた限りで起こっている事実を書いていきます。
1)エイズの蔓延
HIVは主に性交渉で感染します。
これは我々の中では常識です。
唾液からも感染しないし、空気感染もしません。
でも、エイズ発症率が50%を越えるサハラ以西の国では常識ではありません。
だから、きちんとHIV対策ができていません。
当たり前にエイズが日常に横たわっているのです。
「あの店員さん、最近見ないと思ったらエイズで亡くなったらしいね」
それは、日常会話だったりするのです。
2)いまだ続く奴隷貿易/「資源」として扱われる子どもたち
アフリカにおいて子どもは人口爆発によって続々と増えています。
そして養いきれなくなったり、それこそ両親をエイズで失ったりといった形で、行き場を失った子どもたちがいます。
それ以外にも、親が子どもを超低額で売ったりなど、奴隷は失われた文化ではありません。
カカオのプランテーションにて鞭で打たれながら、人として扱われることなく働かされる子ども。
彼らはそのカカオがチョコレートになって、バレンタインだ何だと浮かれる日本人の商売道具になっていることは知りません。
金鉱のわずかな金をもとめて、身を危険にさらしながら朦朧とした意識の中で金を掘る子ども。
戦地に「資源」として買われる子ども。
彼らは手をつなぎ、一列になって地雷原を歩きます。
あちこちで地雷が炸裂し、地雷原は兵士にとって安全な場所になっていきます。
同じ時間に生きて、同じ空気をすって、生まれたところが違うだけでどうしてこんなにも違うんでしょうか?
3)少年兵
アフリカでは紛争が絶えません。
もはや何のために戦っているのかもわかっていない人がほとんどだと思います。
少年兵(もちろん少女兵もいる)は街である日呼ばれるところから始まります。
ストリートチルドレンたちにおとなの兵士は言います。
「これから兵士になれば、水も食糧も寝るところも、十分与えてやろう」
「ただし、兵士になるには条件がある」
「お前の親を殺して、その首を持ってこい」
・・・そうして、少年は殺人のためだけに倫理感や人間の感情を捨て去ります。
石さんも一度殺されそうになったと言われてました。
少年兵の写真も見せてもらいましたが、その目はまさに暗闇を湛えていたのです。
4)飢餓
世界の10%の人が贅沢するために、もう一方では10%の人が栄養不良状態=飢餓状態に追い込まれています。
賞味期限が切れたとぐしゃぐしゃに踏み潰されて、ホームレスが食べられないようにしてから廃棄される弁当・・・
できたてじゃないと美味しくない!という理由で数分刻みで廃棄されるフライドポテト・・・
みなさんは飢餓に苦しむ10%の人のことを知り、それでもなお「おいしいもの」が食べたいですか?
まずは関心を持つこと。
そして改善するための手段はいっぱいあります。
その一歩を踏み出せるかどうかが、地球の裏側の誰かを救い、そして自分たちをも救うのではないでしょうか。